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ジャルディニエ・キリクイの庭しごと

神奈川で庭づくり・庭の手入れをしている小さな会社、キリクイのブログです。

環縄の庭・南庭(2015年施工)

Kirikui の庭づくり 〈解説〉

池を掘る

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今回ご紹介するのは、小さな池をつくるというアイデアを核にデザインした庭です。

庭に水があるのとないのとでは大きな違いが生まれます。水があることで、生命の気配が強く感じられる庭になります。手入れの手間はそれなりにかかるので、全ての方にお勧めできるものではありませんが、機会に恵まれた方はぜひ池づくりをご検討ください。池が難しいようであれば、睡蓮鉢などを置いていただくだけでも庭がずっと良くなります。

Kirikui の池づくりでは、防水シートを使用します。
シートを敷いた上に、底土を敷き、周囲に石を配して、池とします。

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シート工法は、コストを抑えつつ、自然度の高い池にできるという利点があります。

底には赤玉土を使っています。赤玉土には微細な穴があり、そこが微生物の住処となって、水質浄化に貢献します。栄養の含まれない土なので、その点も水の濁りを防止するのに役立ちます。

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周囲に配置した石は、早川玉石です。
その名の通り、山梨県を流れる早川で採れる川石です。川石は、水の力で角が取れて丸みを帯びています。当然、水の景との相性は抜群。さまざまな種類の石が含まれているので、色や模様がひとつひとつ違いがあり、じっくり眺めてみると、大変おもしろいものです。

ちなみに、早川と言えば、「糸魚川ー静岡構造線」に沿って流れる川で、地理に関心のある方はすぐにピンと来るのではないかと思います。

石の配置が、池を自然に見せるためのポイントになります。ただ並べるのではなく、出入りをつくり、大小を織り交ぜ、粗密があるようにして、作為的にならないように心がけます。このとき、水辺の植物が育ったときの様子を想像しながらやることも大切です。

池を掘った土で築山を

池を掘れば、土がたくさん出ます。そうした土を庭の外に持ち出して安易に処分しないのが、Kirikui の流儀です。
今回は、その土を盛って築山をつくりました。

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同じ早川石を使って、自然な雰囲気で土留めをつくり、その隙間に宿根草を植えています。

この築山に植えた樹木は、ヤマボウシウメモドキ、クロモジ、オトコヨウゾメ、ヒサカキヤマアジサイ。池を挟んで、ツリバナ、カマツカアセビナンテン
下草は、ギボウシ、フウチソウ、イカリソウツワブキ、キチジョウソウ、ヤブランヤブコウジリュウノヒゲ、タツナミソウ、シモバシラ、エビネセキショウなど。

境界沿いの土留めは、あまり視線に入らないところなので、早川石ではなく、コンクリート製のブロックを使っています。

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この土留め用ブロックは、エスビック社のABロックという製品で、モルタルを使わず、積み上げるだけで土留めをつくることができます。土を充填して、植物を植えることもできるので、コンクリート製品とは言え、風景によく馴染むものです。

砂利の園路

池の周囲には、園路を兼ねて、砂利を敷いています。

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この砂利、実は瓦を砕いてつくられたリサイクル製品です。
環境保全や後継者不足などによって、砂利の採取は減少傾向にあります。海外からの輸入に頼る部分も大きくなっています。
造園に使われる砂利、砂、石などは貴重な資源であり、代替できるものがあれば活用し、天然のものを使用するのであれば、大切に、不要になっても再利用できるような状態で使うことが求められていると思います。
この瓦砂利の使用は、上のような問題に対する、Kirikui の一つの答えです。

リサイクル品とはいえ、この瓦砂利は渋みのある色で、落ち着いた雰囲気を演出してくれます。多孔質なので、吸水性・保水性に優れ、軽量で扱いやすい砂利です。

砂利敷きのデメリットは、砂利が動いて歩きにくい点ですが、ここでは、砂利地盤安定資材(グランドグリッド)を使用して、砂利が動くのを防止しています。

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グランドグリッドは不織布でできていて、蜂の巣状の隙間に砂利が入ることで、砂利の移動を抑えます。およそ5センチの厚みで砂利が敷いてありますが、足が沈まず歩きやすい園路となっています。

グランドグリッドの下には、防草シートを敷いているので、雑草ももちろん抑制します。

ウッドデッキとフェンス

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庭を存分に楽しむために、室内床と同じ高さのウッドデッキを設け、勝手口から直接デッキに出られるようにしています。いちいち玄関に回らなくても、気軽に庭に出ることができます。

デッキには、安全性と使いやすさを優先して、アルミ製の手すりを設置しました。デッキと同じ素材でつくるほうがまとまりがよく見栄えもいいのですが、握りやすさなどの点ではアルミ製手すりに軍配が上がります。
庭づくりでは、美しさや楽しさを追い求めるだけでなく、家族構成やライフスタイルに合わせて丁寧に検討しなければならない点が多くあります。

デッキの素材は、エコアコールウッド。国産杉材に特殊な保存処理を施した木材で、屋外での耐用年数は20年以上。薬剤の溶出はなく、燃やしても有害物質は発生しないので、小さなお子さんやペットのいるご家庭でも安心の素材です。
今回のデッキは無塗装。時間の経過に従って、銀灰色に変わっていきますが、耐久性には影響ありません。

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デッキと同じエコアコールウッドで、フェンスを設置しています。
視線を遮り、お隣の方とお互いのプライバシーを尊重するためのものですが、庭に統一感を与えてくれてもいます。木材と自然の植物に囲まれた空間は、ホッとさせてくれます。

このフェンスの柱は、地面に直接埋め込み、その周りを酸化マグネシウム系固化材を混ぜた庭土で巻いています。酸化マグネシウム系固化材で固めた土は、環境への負荷が少なく、壊せばそのまま土に戻すことができます。
土中でも耐用年数20年以上というエコアコールウッドだからこそできる施工かもしれませんが、こうすることで、解体時に廃棄物ゼロとすることが可能になります(木材を再利用した場合)。

 

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